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遊び方と習慣

仕事のあとにゲームでくつろぐ:ストレスからの回復

心理的距離、リラックス、熟達、コントロール。仕事のあとにくつろぐことについて回復の研究がわかっていることと、カジュアルゲームの役割を紹介します。

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藍色の壁にブロックが浮かぶなか、Blooと赤いBrickoが、OutBrickの「超難しい」ステージを映したiPhoneの両側にいます
ジャーナルのイラスト

家に帰り、かばんを置いて、コートを脱ぐ前にゲームを手に取る。それは、その日はじめて自分のものになった瞬間のように感じられるかもしれません。それは回復なのでしょうか。それとも、また画面を見ているだけなのでしょうか。産業・組織心理学者は20年かけて、人が自由な時間に仕事からどう回復するかを研究してきました。ゲームの研究者はその道具を借りて、遊びがどこにおさまるのかを問うてきました。答えは、条件つきで励みになるものです。

回復の4つの要素

もっとも影響力のある枠組みは、リカバリー経験質問票(Recovery Experience Questionnaire)をつくったSonnentagとFritzによるものです。働く人930人を対象とした研究を通じて、人が回復するのを助ける、はっきり区別できる4つの体験が見つかりました。心理的距離とは、仕事のことを考えないこと。リラックスとは、覚醒度が低く落ち着いていること。熟達とは、新しいことを学ぶように、手ごたえがあって没頭でき、有能感を育てる活動のこと。コントロールとは、自分の時間の使い方を自分で決めることです。

その後、Bennett、Bakker、Fieldによるメタ分析は、54のサンプル、2万6,592人を統合しました。心理的距離は疲れの少なさともっとも強く結びつき、コントロールの感覚は元気があるという感覚ともっとも強く結びついていました。回復の体験は、仕事の負担を考慮したうえでも、ウェルビーイングの違いを説明していました。その日がどれだけ大変だったかだけではありません。そのあと何をするかも大切なのです。

4つの要素が便利なのは、特定の活動を必要としないからでもあります。ランニングは心理的距離と熟達を、お風呂はリラックスを、何もしないと自分で決めることはコントロールをもたらしえます。同じ活動でも、4つのうちどれをもたらすかによって、ある人を回復させ、別の人を消耗させることがあります。それが、ゲームを見るときに持ちこむ価値のある視点です。

出典1Sonnentag, S., & Fritz, C. (2007). The Recovery Experience Questionnaire: Development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work. Journal of Occupational Health Psychology, 12(3), 204–221.2Bennett, A. A., Bakker, A. B., & Field, J. G. (2018). Recovery from work-related effort: A meta-analysis. Journal of Organizational Behavior, 39(3), 262–275.

人はすでにゲームで回復している

プレイヤー1,614人を対象としたオンライン調査で、Reineckeは、人がストレスの多い状況や疲れる状況のあとに、決まってゲームに向かうことを見いだしました。仕事や日々のわずらわしさで疲れているほど、回復のためにゲームを使っており、この結びつきは、周囲からのサポートが少ない人ほど強くなっていました。回復の体験は、プレイヤーがゲームに求める価値の中心的な部分でした。

CollinsとCoxは491人を調査し、1週間のプレイ時間が全体的な回復と相関していることを見いだしました。この結びつきは、一人称シューティングやアクションゲームのような没入感の強いジャンルと、オンラインの人間関係を通じて支えを築いてきたプレイヤーでもっとも強くなっていました。ゲームをしても、仕事が家庭生活に持ちこまれる度合いは減りませんでした。

どちらもゲームをする人を対象とした調査なので、わかるのはゲームがどう使われ、それに何がともなうかであって、ゲームが回復をもたらすということではありません。

出典3Reinecke, L. (2009). Games and recovery: The use of video and computer games to recuperate from stress and strain. Journal of Media Psychology, 21(3), 126–142.4Collins, E., & Cox, A. L. (2014). Switch on to games: Can digital games aid post-work recovery? International Journal of Human-Computer Studies, 72(8–9), 654–662.

ほかのくつろぎ方とくらべたゲーム

実験を見ると、もう少しくわしくわかります。Reinecke、Klatt、Krämerは、まず160人に消耗する仕事の課題をしてもらい、そのあとランダムに、ビデオゲームをする、同じゲームの録画を見る、アニメーションの動画を見る、何もしない、のいずれかに割り当てました。自分で操作する選択肢と受け身の選択肢とでは、回復の体験のパターンが違っていました。そして回復の体験は、楽しさが増すこと、元気が出ること、その後の認知テストの成績がよくなることとともに現れていました。

Collinsらは、ブロックパズルゲームとマインドフルネスのアプリをくらべました。ラボでは、45人が疲れる課題をしたあと、ゲームをするか、アプリを使うか、ハンドスピナーをいじりました。元気の度合いを上げたのはゲームだけで、ほかの2つは下げていましたが、どれだけ回復したと感じたかは3つのあいだで違いがありませんでした。小規模なフィールド研究では、働く人20人が、仕事のあと5日間、家でゲームかアプリを使いました。回復の体験は、ゲームをした人では1週間で高まり、アプリを使った人では下がりました。著者らは、遊びの効果は一度に現れるのではなく、日をかけて積み重なるのかもしれないと述べていますが、これほど小さなサンプルなので、手がかりと考えてください。

出典5Reinecke, L., Klatt, J., & Krämer, N. C. (2011). Entertaining media use and the satisfaction of recovery needs: Recovery outcomes associated with the use of interactive and noninteractive entertaining media. Media Psychology, 14(2), 192–215.6Collins, E., Cox, A., Wilcock, C., & Sethu-Jones, G. (2019). Digital games and mindfulness apps: Comparison of effects on post work recovery. JMIR Mental Health, 6(7), e12853.

パズルゲームと4つの要素

よくできたパズルは、いつも同時にとはかぎりませんが、4つの体験すべてに触れることができます。仕事のことが薄れるほど注意を満たしてくれるのは心理的距離です。1分前には無理に見えたステージを解くのは熟達です。いつ始めていつやめるかを選ぶのはコントロールです。やっかいなのはリラックスです。熟達にはある程度の難しさが必要で、難しさは緊張に傾くことがあるからです。

ここで、ゲームのデザインが大切になります。OutBrickは時計ではなく手数の上限を設け、各ステージの目標を最初のタップから見せ、どのステージでも最初のアンドゥを無料にしています。そのため、難しさは競争ではなくパズルの中にとどまります。パズルゲームのフローを支えるのと同じデザインの選択が、回復も支えます。はっきりした目標、コントロールしている感覚、じゃまが入らないこと。何も約束せずに試してみたいなら、ブラウザで遊べるステージがあります。

タイミングも大切です。玄関を入ってすぐのゲームは、仕事の1日に区切りの線を引くのに役立つことがあります。これはもっとも実用的な形の心理的距離です。同じゲームでも夜11時、リラックスが眠りへとしずまっていくべき時間には、別の役目を果たしています。

とはいえ、ジャンルで運命が決まるわけではありません。調査で回復ともっとも強く結びついていたのはアクションゲームで、にぎやかでテンポの速いものでいちばんくつろげる人もいます。「癒される」ゲームのどんなリストよりも、4つの要素の方がよい目安になります。落ち着きを求めているなら、パズルゲームを落ち着けるものにする要素のチェックリストをご覧ください。

出典1Sonnentag, S., & Fritz, C. (2007). The Recovery Experience Questionnaire: Development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work. Journal of Occupational Health Psychology, 12(3), 204–221.4Collins, E., & Cox, A. L. (2014). Switch on to games: Can digital games aid post-work recovery? International Journal of Human-Computer Studies, 72(8–9), 654–662.

くつろぐことが、逃げることに変わるとき

Reineckeは、問題に取り組むより気持ちを整えることでストレスに対処しがちな人ほど、回復のためにゲームを使いやすいことを見いだしました。それ自体は悪いことではありません。だれにでも、大変な1日のあとに気分をよくする方法が必要です。問題になるのは、遊ぶことが唯一の方法になったとき、あるいは睡眠にあてるはずの時間まで延びていくときです。

気をつけたいサインがいくつかあります。向き合う必要のあることを考えないために遊んでいる、夜がつもりより遅くまで延びる、やめたときに気分がよくなるどころか悪くなる。その境目については、遊ぶときと休むときと寝る前のゲームの記事でくわしく取り上げています。

  • 夜のゲームは、開きっぱなしのタブではなく、終わりを決めた1回のプレイにする。
  • 運動や人と過ごす時間など、強い証拠のある回復の活動も取り入れる。
  • 終わったあと元気が出たか、消耗したかに気づき、調整する。

出典3Reinecke, L. (2009). Games and recovery: The use of video and computer games to recuperate from stress and strain. Journal of Media Psychology, 21(3), 126–142.2Bennett, A. A., Bakker, A. B., & Field, J. G. (2018). Recovery from work-related effort: A meta-analysis. Journal of Organizational Behavior, 39(3), 262–275.

よくある質問

役に立つ答えをいくつか

ビデオゲームは仕事のあとのリラックスに役立ちますか?

役立つことがあります。調査では、人は仕事のストレスから回復するためにゲームを使っており、あるラボ実験では、疲れる課題のあとにカジュアルなパズルゲームで元気が出た一方、マインドフルネスのアプリやハンドスピナーでは出ませんでした。証拠は有望ですが、小規模な研究にもとづいています。

仕事のあとに回復するいちばんいい方法は何ですか?

回復の研究は、4つの体験を挙げています。仕事から心理的に距離をおくこと、リラックスすること、没頭できる何かを身につけること、自分の時間をコントロールすること。それらをもたらす活動ならどれも役立ちえ、心理的距離は疲れの少なさともっとも強く結びついています。

ストレス解消には、パズルゲームとアクションゲームのどちらがいいですか?

人によります。ある調査では、回復ともっとも強く結びついていたのはアクションゲームでしたが、刺激よりリラックスを求める人には落ち着いたパズルゲームが合うかもしれません。ジャンルより、4つの回復の体験の方がよい目安になります。

ゲームは問題から逃げる手段になることがありますか?

はい。大変な1日のあとに気分をよくするためにゲームを使うのはふつうのことですが、遊ぶことが唯一の対処法になっていたり、たびたび睡眠を削っていたりするなら、バランスを変える価値があります。

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参考文献

参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。

  1. Sonnentag, S., & Fritz, C. (2007). The Recovery Experience Questionnaire: Development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work. Journal of Occupational Health Psychology, 12(3), 204–221. doi.org/10.1037/1076-8998.12.3.204(新しいタブで開きます)
  2. Bennett, A. A., Bakker, A. B., & Field, J. G. (2018). Recovery from work-related effort: A meta-analysis. Journal of Organizational Behavior, 39(3), 262–275. doi.org/10.1002/job.2217(新しいタブで開きます)
  3. Reinecke, L. (2009). Games and recovery: The use of video and computer games to recuperate from stress and strain. Journal of Media Psychology, 21(3), 126–142. doi.org/10.1027/1864-1105.21.3.126(新しいタブで開きます)
  4. Collins, E., & Cox, A. L. (2014). Switch on to games: Can digital games aid post-work recovery? International Journal of Human-Computer Studies, 72(8–9), 654–662. doi.org/10.1016/j.ijhcs.2013.12.006(新しいタブで開きます)
  5. Reinecke, L., Klatt, J., & Krämer, N. C. (2011). Entertaining media use and the satisfaction of recovery needs: Recovery outcomes associated with the use of interactive and noninteractive entertaining media. Media Psychology, 14(2), 192–215. doi.org/10.1080/15213269.2011.573466(新しいタブで開きます)
  6. Collins, E., Cox, A., Wilcock, C., & Sethu-Jones, G. (2019). Digital games and mindfulness apps: Comparison of effects on post work recovery. JMIR Mental Health, 6(7), e12853. doi.org/10.2196/12853(新しいタブで開きます)

執筆

OutBrick Editorial Desk

OutBrick編集部は、プレイヤー研究、アクセシビリティの実践、ゲームづくりで得た学びを、役に立って読みやすいノートにまとめています。

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