寝る前のゲームは睡眠に悪い?研究でわかったこと
夜のゲームは本当に睡眠をこわすのでしょうか。睡眠ラボの実験、大規模な調査、「就寝の先延ばし」の研究からわかったことと、今夜から試せることをまとめました。

夜11時半。明かりを消して、あと1ステージで寝るつもりです。あるいは、あと3ステージ。夜遅くのゲームが知らないうちに睡眠を削っているのでは、という心配はよく聞きますし、その裏づけとなる研究も実際にあります。ただ、その単純な見方にあてはまらない研究も数多くあります。研究から見えてくるのは、ゲームを手に取ったこと自体よりも、プレイの長さと、それによって押しのけられるものの方が大切らしい、ということです。
もっともはっきりした証拠は、参加者に睡眠ラボへ来てもらい、いつもの就寝時刻の前にゲームをしてもらって、そのあとを測る研究から得られます。初期の研究のひとつで、Weaverらは夜型を自認する10代の男子13人に、寝る前の50分間、アクティブなビデオゲームをするか、DVDを観てもらいました。ゲームのあとは寝つくまでに少し長くかかり、眠気も少し弱まりましたが、その差はわずかでした。深い睡眠や夢を見る睡眠を含め、睡眠の構造は変わりませんでした。著者らは、寝る前のゲームの直接の影響は、それまでの調査が示していたよりも控えめなのかもしれないと結論づけています。
量は関係していそうです。Kingらは10代の男子17人に、別々の2晩、テンポの速い暴力的なゲームを寝る前に50分または150分プレイしてもらいました。長くプレイした晩は、総睡眠時間が約27分減り、睡眠効率は85%を下回り、寝つくまでの時間も本人の報告で約17分長くなりました。興味深いことに、心拍数は2晩で変わりませんでした。そこで著者らは、夜のプレイが睡眠に影響する主な経路は、体の興奮ではないのかもしれないと述べています。
どちらの研究も小規模で、対象は10代の男子、使ったのはテンポの速いアクションゲームです。静かなパズルが40歳の人に何をもたらすかは、ここからはわかりません。わかるのは、寝る前のふつうのプレイと、真夜中までだらだら続く夜とは別物だろう、ということです。
出典1Weaver, E., Gradisar, M., Dohnt, H., Lovato, N., & Douglas, P. (2010). The effect of presleep video-game playing on adolescent sleep. Journal of Clinical Sleep Medicine, 6(2), 184–189.2King, D. L., Gradisar, M., Drummond, A., Lovato, N., Wessel, J., Micic, G., Douglas, P., & Delfabbro, P. (2013). The impact of prolonged violent video-gaming on adolescent sleep: An experimental study. Journal of Sleep Research, 22(2), 137–143.
調査なら、はるかに多くの人を対象にできます。ExelmansとVan den Bulckは、18歳から94歳のフランドル地方の成人844人に聞き取りをしました。年齢、性別、学歴、運動、ストレスを調整したあとでも、ゲームをよくする人ほど、睡眠の質が低く、疲れやすく、不眠の症状が多いと答えていました。1日のゲーム時間が1時間増えるごとに、就寝は約7分、起床は約14分遅くなっていました。
HaleとGuanが子どもと10代を対象とした67の研究をまとめたレビューでは、その90%で、スクリーンタイムが短い睡眠や遅い睡眠と結びついていました。著者らは限界についても慎重でした。どれも因果関係を示したものではなく、スクリーンタイムも睡眠も測り方が不完全で、画面に何が映っていたかを調べた研究はわずかでした。
大きさも大切です。Przybylskiは、5万人を超えるアメリカの子どもを対象とした事前登録の分析で、スクリーンタイムが1時間増えるごとに、1晩の睡眠が3分から8分短いことを見いだしました。子どもの睡眠の違いのうち、スクリーンタイムで説明できたのは2%未満でした。彼の結論は、スクリーンタイムそのものよりも、家庭の習慣など画面をとりまく状況の方が大切だというものです。
ニワトリが先か卵が先か、という問題もあります。もともと眠りが浅い人が、眠れないからゲームに手をのばすのかもしれません。その逆ではなく。ある一時点でとった調査では、この2つを見分けられません。だからといって、こうした関連に意味がないわけではありません。自分の夜の過ごし方を見直すきっかけにはなりますが、ゲームのせいだという証拠にはならない、ということです。
出典3Exelmans, L., & Van den Bulck, J. (2015). Sleep quality is negatively related to video gaming volume in adults. Journal of Sleep Research, 24(2), 189–196.4Hale, L., & Guan, S. (2015). Screen time and sleep among school-aged children and adolescents: A systematic literature review. Sleep Medicine Reviews, 21, 50–58.5Przybylski, A. K. (2019). Digital screen time and pediatric sleep: Evidence from a preregistered cohort study. The Journal of Pediatrics, 205, 218–223.e1.
ゲームが脳をそれほど興奮させないのなら、なぜ夜遅くのプレイは高くつくように感じるのでしょうか。答えのひとつは単純な算数です。始まらない睡眠は、とれません。ExelmansとVan den Bulckはのちに、若い成人338人を対象に、ベッドに入ることと眠ろうとすることを分けて調べました。ベッドに入ってから明かりを消すまでに平均39分かかっており、その間が1時間を超える人は、すぐに眠る人に比べて、睡眠の質が悪いと判定される割合が9倍以上でした。この調査は便宜的に集めたサンプルなので、数字は一般化できるものではなく、目安です。
心理学者は、もっと広いこのパターンに名前をつけています。Kroeseらは「就寝の先延ばし」を、外的な理由がないのに、つもりよりも遅く寝ることと説明しています。オランダの成人2,431人の代表サンプルではこれがよく見られ、自己制御の弱さと睡眠不足との結びつきを説明する一因にもなっていました。自然な終わりがない活動は、こうしたずるずるとした夜ふかしを招きやすく、多くのゲームは自然な終わりがないようにつくられています。
いちばん役に立つ問いは、多くの場合「ゲームは睡眠に悪いか?」ではなく「このゲームは、終えるつもりのときに終わったか?」です。よくできたゲームを楽しくしている没頭、つまり心理学者がフローと結びつける時間の感覚の消失こそが、このずるずるを起こしやすくしています。やめどきに気づくコツについては、遊ぶときとスマホを置くときの記事もどうぞ。
出典6Exelmans, L., & Van den Bulck, J. (2017). Bedtime, shuteye time and electronic media: Sleep displacement is a two-step process. Journal of Sleep Research, 26(3), 364–370.7Kroese, F. M., Evers, C., Adriaanse, M. A., & de Ridder, D. T. D. (2016). Bedtime procrastination: A self-regulation perspective on sleep insufficiency in the general population. Journal of Health Psychology, 21(5), 853–862.
夜のゲームをやめなければならない、という話ではありません。始める前に、プレイの形を決めておきましょう、ということです。以下のアイデアは研究から導いたものですが、どれも睡眠の治療法として試されたものではありません。
OutBrickは、私たちがめざす形の一例です。ステージには手数の上限があっても時計はないので、夜が更けても何もせかしてきません。クリアは、次のステージへのカウントダウンではなく、句点のように区切りになるカードで終わります。今日のボードは1ステージで、それでおしまいです。寝る前にひとつだけ知っておきたいのは、すでに一手動かしたステージを途中でやめると失敗扱いになり、ライフが1つ減ることです。ステージを最後までやるか、ステージとステージのあいだでやめましょう。ライフ、アンドゥ、広告のコストはホームページにまとめています。
- 始める前に、気分ではなく、遊ぶステージやラウンドの数を決める。
- 夜遅くには、エンドレスモードより、はっきりした終わりがあるゲームを選ぶ。
- 長くて緊張感のあるプレイは夜の早い時間に。ラボでの影響は、プレイが長いほど大きくなりました。
- ベッドに入ってから寝るのを先延ばしにしていると気づいたら、がんばってやめようとするより、ゲームを寝る前の習慣から外す。
- せかすものより、落ち着けるものを。タイマーなし、ピカピカ光るごほうびなし。パズルゲームを落ち着けるものにする要素のガイドにチェックリストがあります。
出典2King, D. L., Gradisar, M., Drummond, A., Lovato, N., Wessel, J., Micic, G., Douglas, P., & Delfabbro, P. (2013). The impact of prolonged violent video-gaming on adolescent sleep: An experimental study. Journal of Sleep Research, 22(2), 137–143.7Kroese, F. M., Evers, C., Adriaanse, M. A., & de Ridder, D. T. D. (2016). Bedtime procrastination: A self-regulation perspective on sleep insufficiency in the general population. Journal of Health Psychology, 21(5), 853–862.
寝る前にゲームをする人のほとんどは、それが原因で睡眠の問題を抱えることはありません。よく眠れずに横になっている、寝ても疲れがとれない、ゲームがないと夜を過ごせない、ということがたびたびあるなら、ゲームは原因ではなく症状なのかもしれません。NHS(英国国民保健サービス)には、早く寝つき、よく眠るための、商業目的ではない実用的なアドバイスがあります。不眠が続くなら、かかりつけの医師に相談する価値があります。
同じ問いが画面全般にどうあてはまるかを知りたい方は、スクリーンタイムの思い込みの記事で、最大規模の研究でわかったことを紹介しています。
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よくある質問
役に立つ答えをいくつか
寝る前にゲームをするのはよくないですか?
かならずしもそうではありません。睡眠ラボの研究では、寝る前のふつうの長さのプレイで寝つきが遅れたのはわずかでしたが、2時間半のプレイでは総睡眠時間が約27分減りました。遊ぶこと自体より、長さと、そのプレイが押しのける睡眠の方が大切なようです。
寝る何分前にゲームをやめればいいですか?
だれにでもあてはまる区切りを確かめた研究はありません。実用的なのは、始める前に遊ぶラウンドやステージの数を決め、疲れを感じたときではなく、自然な区切りでやめることです。
寝る前なら、アクションゲームよりパズルゲームの方がいいですか?
ジャンルを直接くらべた研究はわずかです。もっともはっきりした影響が見られた実験では、テンポの速いアクションゲームを長時間プレイしていました。ですから、はっきりした終わりのある短く落ち着いたゲームは妥当な選択ですが、睡眠によいと証明されたわけではありません。
「就寝の先延ばし」とは何ですか?
就寝の先延ばしとは、外的な理由がないのに、つもりよりも遅く寝ることです。オランダの大規模なサンプルを使った研究では、これがよく見られ、睡眠不足と結びついていました。
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参考文献
参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。
- Weaver, E., Gradisar, M., Dohnt, H., Lovato, N., & Douglas, P. (2010). The effect of presleep video-game playing on adolescent sleep. Journal of Clinical Sleep Medicine, 6(2), 184–189. doi.org/10.5664/jcsm.27769(新しいタブで開きます)
- King, D. L., Gradisar, M., Drummond, A., Lovato, N., Wessel, J., Micic, G., Douglas, P., & Delfabbro, P. (2013). The impact of prolonged violent video-gaming on adolescent sleep: An experimental study. Journal of Sleep Research, 22(2), 137–143. doi.org/10.1111/j.1365-2869.2012.01060.x(新しいタブで開きます)
- Exelmans, L., & Van den Bulck, J. (2015). Sleep quality is negatively related to video gaming volume in adults. Journal of Sleep Research, 24(2), 189–196. doi.org/10.1111/jsr.12255(新しいタブで開きます)
- Hale, L., & Guan, S. (2015). Screen time and sleep among school-aged children and adolescents: A systematic literature review. Sleep Medicine Reviews, 21, 50–58. doi.org/10.1016/j.smrv.2014.07.007(新しいタブで開きます)
- Przybylski, A. K. (2019). Digital screen time and pediatric sleep: Evidence from a preregistered cohort study. The Journal of Pediatrics, 205, 218–223.e1. doi.org/10.1016/j.jpeds.2018.09.054(新しいタブで開きます)
- Exelmans, L., & Van den Bulck, J. (2017). Bedtime, shuteye time and electronic media: Sleep displacement is a two-step process. Journal of Sleep Research, 26(3), 364–370. doi.org/10.1111/jsr.12510(新しいタブで開きます)
- Kroese, F. M., Evers, C., Adriaanse, M. A., & de Ridder, D. T. D. (2016). Bedtime procrastination: A self-regulation perspective on sleep insufficiency in the general population. Journal of Health Psychology, 21(5), 853–862. doi.org/10.1177/1359105314540014(新しいタブで開きます)



