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遊びを通じた学び

アンドゥでパズルは上達する? ずるではない理由

取り消せるミスは、パズルが与えてくれる最高の先生のひとつです。ミスと計画の研究からわかる、アンドゥの上手な使い方と、控えるべきときを紹介します。

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星のステッキを持ったPoppyとBricko。藍色のブロックのグリッドの上で、OutBrickのショップを映したiPhoneの横に立っています
ジャーナルのイラスト

アンドゥを、負けを認めることのように扱うプレイヤーがいます。一手戻すくらいなら、2分間ステージをにらみ続けるほうがいい。まるでそのボタンが、パズルが本当は苦手な人のためのものであるかのように。学習の研究は、その逆を示しています。ただし、ひとつ興味深い落とし穴つきで。気づいて直したミスは、学んでいるあいだに起こりうることの中でも、とくに役に立つもののひとつです。けれども、ミスにまったくコストがかからないと、人は計画をあまり立てなくなります。アンドゥを上手に使うとは、前者の効果を得ながら、後者の代償を払いすぎないことです。

ミスは情報である

2017年のレビューで、Janet Metcalfeはミスから学ぶことについての証拠をまとめました。ミスは何としても避けるべきだと教わってきた人には意外な内容です。ミスをしてから訂正のフィードバックを受けることは、一般に学習の助けになり、ミスを刷り込んでしまうことはありません。効果がいちばん強いのは、いちばん悪そうに聞こえる場合、つまり学習者が間違った答えを正しいと確信していたときです。自信をもって犯し、訂正されたミスは、記憶に残ります。

Nate Kornell、Matthew Hays、Robert Bjorkは、これに関連する効果を実験で示しました。答えを見る前に問いに答えようとした人は、問いと答えを一緒に読んだだけの人よりも、よく覚えていました。その試みが失敗するしかない場合でも、です。うまくいかなかった試みが、訂正を受け取る準備をしてくれたようでした。

パズルの一手は、ステージについての一種の推測です。推測が外れて、その理由がわかったとき、ピースどうしがどう関わり合うかについて、にらんでいるだけでは見えなかったことを学べます。アンドゥが可能にしてくれるのは、まさにこれです。ミスにつながった考えがまだ新しいうちに、すぐ訂正が届くのです。

出典1Metcalfe, J. (2017). Learning from errors. Annual Review of Psychology, 68, 465–489.2Kornell, N., Hays, M. J., & Bjork, R. A. (2009). Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 35(4), 989–998.

探索とミスは、遠くまで役に立つ

職場の研修の研究では、これが大規模に検証されています。エラーマネジメント・トレーニングは、正しい道から外れないようにする手順に従わせるのではなく、あえて学習者に探索させ、ミスをさせ、そこから学ばせるものです。2008年、Nina KeithとMichael Freseは、2,000人以上が参加した24件の研究をまとめました。平均すると、エラーマネジメント・トレーニングはほかの方法より成果が高く、効果の大きさは中程度でした。差がいちばん大きかったのは、練習した課題ではなく、あとで取り組んだ構造の異なる課題でした。スキルが持ちこたえてほしいのは、まさにそういう場面です。

大切だった要素は2つ。能動的な探索と、ミスをしてよいとはっきり励ますことです。2つ目は見落とされがちです。ミスは過程の一部だと言われると、人のミスへの反応が変わり、いら立ちが好奇心に変わる余地が生まれます。ゲームは、最初の訂正を安くするという設計によって、同じメッセージを伝えることができます。

パズルゲームでも、新しい課題への転移こそ気にかけるべきものです。同じステージをずっと遊び続ける人はいません。あるステージから次のステージへ持っていきたいのは、覚えた解ではなく、ピースどうしがどう邪魔し合うかについての、よりよい感覚です。そして、その感覚を育てるのが探索です。

出典3Keith, N., & Frese, M. (2008). Effectiveness of error management training: A meta-analysis. Journal of Applied Psychology, 93(1), 59–69.

落とし穴:安い手は、雑な計画を生む

Kenton O’HaraとStephen Payneが1990年代後半に行った一連の実験は、パズルをつくる人ならだれもが知っておくべきものです。参加者は小さなスライドパズルである8パズルを、一手ごとの操作がすばやくできるインターフェースか、手間のかかるインターフェースで解きました。手にコストがかかるとき、人はより多く計画しました。手が安いときは、代わりに実際に動かしてみる試行錯誤に頼りました。

学習への影響は、もっと入り組んでいました。ある実験では、手間のかかるインターフェースで練習した人のほうが、あとで同じ種類のパズルを、安いインターフェースで練習した人よりうまく解きました。あとのパズルが別のものだった別の実験では、練習したインターフェースによる差はありませんでした。続く研究では、一手ごとに操作できなくなる待ち時間や、ミスから立て直すコストなど、別のコストを操作しましたが、基本的なパターンは同じでした。行動のコストが高いほど、人はより多く計画し、あまり動かなくなるのです。

アンドゥは究極のコスト削減装置です。悪い一手を、ほぼタダにしてしまいます。ですから研究からは、アンドゥがふんだんにあると、人は知らず知らず計画をやめてしまうかもしれない、と予想できます。答えは、アンドゥを避けることではなく、目的をもって使うことです。

出典4O’Hara, K. P., & Payne, S. J. (1998). The effects of operator implementation cost on planfulness of problem solving and learning. Cognitive Psychology, 35(1), 34–70.5O’Hara, K. P., & Payne, S. J. (1999). Planning and the user interface: The effects of lockout time and error recovery cost. International Journal of Human-Computer Studies, 50(1), 41–59.

アンドゥの上手な使い方

コツは、アンドゥを一つひとつ、問いのついた実験として扱うことです。戻すかもしれない手を指す前に、それで何がわかると思うかを言葉にします。青を左にスライドしたら、レーンは開くか? それから見て、学んで、戻します。安い手が削りがちな計画を保ちつつ、ミスを役立つものにしてくれるすばやい訂正も得られます。

  • 探りの一手の前に問いを決める。あとからではなく。
  • アンドゥしたら、ステージから今学んだことを一文でまとめる。
  • 同じ手を2回アンドゥしたら、手を止めてステージを読み直す。問題は一手ではなく、計画のほう。
  • 新しい挑戦は、ステージの読みがまるごと間違っていたときのためにとっておく。

同じ2つの状態を行ったり来たりするのは、試しているのではなく、願っているサインです。そのときこそ、ステージを一から読み直しましょう。やり方は最初の一手の前にパズルを読む方法で説明しています。

OutBrickのアンドゥの仕組み

OutBrickは、このバランスを中心につくられています。各ステージ最初のアンドゥは無料で、なくなることもありません。だから最初の訂正はいつでも安く、これはエラーマネジメント・トレーニングが伝えようとしているメッセージと同じです。それ以降のアンドゥは時間とともに回復する小さなタンクから使い、動かせる手がなくなったステージは無料で自動的にシャッフルされます。正確な条件はホームページの「あなたが払うもの」にあります。

ブラウザ版デモで今も遊べるクラシックなステージでは、スターがあえて逆方向に引っぱります。クリアでスター1個。目標手数以内のクリアで2個。目標手数以内で、アンドゥを一度も使わずにクリアすれば3個です(iPhoneとiPadでは、スターは今はステージごとのスコアで決まります)。つまりこのゲームは、2種類の学び方の両方に報いてくれます。クリアしたいときは自由に探索し、3つ目のスターがほしいときは頭の中で計画する。計画の側については、スター3つを取るためのガイドで取り上げています。

違いを体感したいなら、ブラウザで遊べるステージを2回遊んでみてください。1回目は自由に試しながら、2回目はアンドゥに触れずに。2回目に、ステージの見方がどれほど変わるかに注目してみましょう。

よくある質問

役に立つ答えをいくつか

パズルゲームでアンドゥを使うのは、ずるですか?

いいえ。アンドゥを使えば、ミスの背後にある考えがまだ新しいうちに、それを直せます。ミスから学ぶことについての研究は、それに価値があることを示唆しています。おもなリスクは、アンドゥがとても安いと、計画をあまり立てなくなりがちなことです。

試行錯誤はパズルの上達に役立ちますか?

役立つことがあります。エラーマネジメント・トレーニングのメタ分析では、探索とミスを促すと、ミスを避けるトレーニングよりも新しい課題にうまく転移しました。一回一回の試みで具体的なアイデアを試すと、いちばん効果があります。

アンドゥが無制限だと、計画を立てなくなるのはなぜですか?

8パズルを使った実験では、手を指すのが安いと人は試行錯誤に頼り、手にコストがかかるとより多く計画しました。アンドゥはミスを安くするので、力の配分が計画から試行へと移るのです。

OutBrickでアンドゥを使うと、スターは減りますか?

iPhoneとiPadでは、スターはステージごとのスコアで決まり、各ステージ最初のアンドゥは無料です。ブラウザ版デモのクラシックなステージでは、影響するのは3つ目だけです。クリアでスター1個、目標手数以内のクリアで2個、目標手数以内でアンドゥを使わずにクリアすれば3個です。

APA 7

参考文献

参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。

  1. Metcalfe, J. (2017). Learning from errors. Annual Review of Psychology, 68, 465–489. doi.org/10.1146/annurev-psych-010416-044022(新しいタブで開きます)
  2. Kornell, N., Hays, M. J., & Bjork, R. A. (2009). Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 35(4), 989–998. doi.org/10.1037/a0015729(新しいタブで開きます)
  3. Keith, N., & Frese, M. (2008). Effectiveness of error management training: A meta-analysis. Journal of Applied Psychology, 93(1), 59–69. doi.org/10.1037/0021-9010.93.1.59(新しいタブで開きます)
  4. O’Hara, K. P., & Payne, S. J. (1998). The effects of operator implementation cost on planfulness of problem solving and learning. Cognitive Psychology, 35(1), 34–70. doi.org/10.1006/cogp.1997.0676(新しいタブで開きます)
  5. O’Hara, K. P., & Payne, S. J. (1999). Planning and the user interface: The effects of lockout time and error recovery cost. International Journal of Human-Computer Studies, 50(1), 41–59. doi.org/10.1006/ijhc.1998.0234(新しいタブで開きます)

執筆

OutBrick Editorial Desk

OutBrick編集部は、プレイヤー研究、アクセシビリティの実践、ゲームづくりで得た学びを、役に立って読みやすいノートにまとめています。

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