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OutBrick実践

最初の一手の前に:パズルを「読む」コツ

パズルの思い描き方で難しさが変わる理由、上級者が最初に見ているもの、そして動かす前にステージを読むための短い習慣を紹介します。

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OutBrickのショップを映したiPhoneの両側に立つSproutとBricko。藍色のグリッドの上にポッチつきのブロックが浮かんでいます
ジャーナルのイラスト

パズルでむだになる手の多くは、最初の10秒で指されます。まだそのパズルが何なのかをよくわかっていないうちに、です。不注意のせいではありません。人の頭はそういうふうにできているのです。私たちは最初に思いついた問題の捉え方にもとづいて動きはじめますが、その最初の捉え方は、あまり良くないことが多いのです。心理学者たちは50年にわたって、同じパズルでも頭の中でどう表現するかによって、かんたんにも、とても手ごわくもなることを示してきました。うれしいことに、表現は技術です。いくつかの見方の習慣で、上達させることができます。

同じパズルが、かんたんにも難しくもなる

1985年、Kenneth Kotovsky、John Hayes、Herbert Simonは、ある一連のパズルを人々に解いてもらいました。中身はどれもハノイの塔で、状態も、許される手も、最短の解も同じです。変えたのは設定の物語と、ルールの言い表し方だけでした。あるバージョンではモンスターたちが地球儀を受け渡し、別のバージョンでは手に持った地球儀の大きさを変えます。構造は同じなのに、バージョンによっては、解くのに何倍もの時間がかかりました。

分析の結果が指していたのは、表現でした。ルールを思い描きにくいバージョンや、より多くのルールと今の状態を同時に頭に置いておく必要があるバージョンほど、難しかったのです。解く時間の大部分は、正しい手をすらすら指せるようになるまでに費やされていました。それができるようになると、ゴールまでの最後の道のりはたいてい短く済みました。難しさのかなりの部分は、解を探すことではなく、問題を頭で扱える形にすることにあったのです。

Jiajie ZhangとDonald Normanは、1994年にこの考えをさらに進めました。ルールの一部をモノそのものが守らせるハノイの塔をつくったのです。そうすると、ルール違反の手は、「しないように覚えておくもの」ではなく、物理的にやりにくい、あるいは不可能なものになります。ルールが頭の中ではなく外の世界にあるほど、パズルはかんたんになりました。よくできたステージは、よくできた道具と同じように、考える仕事の一部を肩代わりしてくれます。

出典1Kotovsky, K., Hayes, J. R., & Simon, H. A. (1985). Why are some problems hard? Evidence from Tower of Hanoi. Cognitive Psychology, 17(2), 248–294.2Zhang, J., & Norman, D. A. (1994). Representations in distributed cognitive tasks. Cognitive Science, 18(1), 87–122.

上級者は構造を、初心者は見た目を読む

Michelene Chi、Paul Feltovich、Robert Glaserによる古典的な研究では、物理学の専門家と初学者に、教科書の問題をグループに分けてもらいました。初学者は見た目で分けました。斜面の問題はまとめて、ばねの問題はまとめて、というように。専門家は、その問題を解く原理、たとえばエネルギー保存で分けました。見た目がまったく違う問題どうしでも、です。専門家は、より多くを見ていたのではありません。違うものを見ていたのです。

パズルのステージでも、同じ分かれ方が起こります。カラーソートのステージの見た目は色と形で、ついそのまま読みたくなります。赤はここ、青はあそこ、と。構造は別のものです。どのピースが、どのピースとその出口のあいだにあるか。空きスペースはどこか。どのスライドがレーンを開き、どのスライドが閉じるか。構造を読む人には、短い依存関係のチェーンが見えます。見た目を読む人には、人混みが見えます。

上級者の問いを借りるのに、何年もの練習はいりません。動かす前に、このステージがどんな種類の問題なのかを考えてみましょう。すべてが1つのピースを待っている「渋滞」か。まずスペースをつくる必要がある「場所不足」か。色が決まった順番で出なければならない「順序の問題」か。種類に名前をつけることは、小さな表現の行為で、それによって有望に見える手が変わります。やがてその種類は、ひと目でわかるパターンになっていきます。それがチャンキングと呼ばれるものです。

出典3Chi, M. T. H., Feltovich, P. J., & Glaser, R. (1981). Categorization and representation of physics problems by experts and novices. Cognitive Science, 5(2), 121–152.

計画は、選択肢が競い合う場所で

動かす前に、どれくらい見ていればいいのでしょうか。Geoff WardとAlan Allportは、心理学で計画の研究に広く使われるパズル「ロンドン塔」の、5枚の円盤を使う難しいバージョンで、大人が解を計画する様子を調べました。参加者はよどみなく解ける計画を立ててから、それを実行します。準備にかかる時間と誤りの数は、「サブゴールのまとまり」の数とともに増えました。必要ではあるけれど、何も最終的な位置に置かない一連の手のことです。重要な場面で競い合う別の手が多いときにも、計画は遅くなりました。

ここから、役に立つ目安が得られます。計画の手間は、パズル全体に均等に散らばってはいません。いくつかの手がどれももっともらしく見えるのに、解を生かしておけるのは1つだけ、という場所に積み上がります。そして、ピースをゴールに運ぶのではなく、脇にどけなければならない区間にも。そういうときこそ、ペースを落とすべき場面です。手が決まっているときや、ピースが出口までまっすぐ進めるときは、計画することはほとんどなく、じっと見つめても注意力をすり減らすだけです。

こう考えると、ステージを読むとは、実は分かれ道を探すことです。ステージが枝分かれする1つか2つの場所を見つければ、パズルの大部分を見つけたことになります。

出典4Ward, G., & Allport, A. (1997). Planning and problem-solving using the five-disc Tower of London task. The Quarterly Journal of Experimental Psychology Section A, 50(1), 49–78.

30秒でできる「読み」の習慣

研究を実践に移すための習慣を紹介します。中くらいのステージで30秒ほど。スライドパズルにも、カラーソートパズルにも、出口のあるたいていのグリッドパズルにも使えます。

  • ゴールを言葉にする。「解けた」状態はどんな形か。いちばん遠くまで動かす必要があるピースはどれか。
  • 空きスペースを見つける。どんな計画も空いたマスを通るので、その場所を把握しておく。
  • 出口から1本のチェーンを逆にたどる。このピースを止めているのは何か、さらにそれを止めているのは何か。
  • 分かれ道に印をつける。2つの手がどちらももっともらしく見えるのに、違うステージにつながる場所。
  • ステージの種類に名前をつける。渋滞か、場所不足か、順序の問題か。

最後のステップは、ほとんどの人が飛ばすところで、表現が力を発揮するのはまさにここです。種類に名前をつけると、明らかだと思えた最初の一手が、そう見えなくなることがよくあります。

見ることは、頭の中だけで起こるわけではない

行動の研究から、ひとつ補足があります。ステージを読むことは、頭の中だけの作業でなくてもかまいません。David KirshとPaul Maglioは、テトリスの上手なプレイヤーが画面上でピースを回転させるのは、ひとつには、それがどうはまるかを確かめるためだと気づきました。外の世界を使って考えているのです。二人はこれを「認識的行為」と呼びました。前に進むためではなく、情報を得るために指す手です。そして、それが頭の中ですべてを計算するより速く、確実な場合があることを示しました。アンドゥのあるパズルでは、探りの一手が、ステージをいちばん速く読む方法になることもあります。

読み終えたあとの一手ごとの戦術については、スライドパズルの解き方とカラーソートパズルのコツのガイドが、この習慣の続きを引き受けてくれます。

出典5Kirsh, D., & Maglio, P. (1994). On distinguishing epistemic from pragmatic action. Cognitive Science, 18(4), 513–549.

OutBrickのステージを読む

OutBrickは、ルールのいくつかをステージそのものに組み込んでいます。ZhangとNormanの教訓の実践です。ブロックは自分の色のゲートからしか帰れず、長いブロックは自分と同じ幅のゲートからしか出られないので、そのルールはゲートが守らせてくれます。目標と手数の上限は、最初のタップから表示されています。そして最初からオンになっている色覚サポートモードの記号は、すべてのブロックとゲートに色だけでなく形も与えます。そのおかげで、ステージを色の洪水としてではなく、構造として読みやすくなります。

あなたに残されているのは、構造の読みです。どのブロックがどの色を足止めしているか、スペースはどこか、ステージはどこで枝分かれするか。後半のステージでは、木箱、氷、錠前、コケ、カウント付きゲートが依存関係を増やします。何かを動かす前にたどっておく価値があります。錠前を開けるのが遅すぎると、きれいなチェーンが長い回り道に変わってしまうことがあるからです。

どのステージにも時間制限はないので、読むのにかかるのは数秒だけです。この習慣を試すなら、ブラウザで遊べるステージがぴったりです。今日のボードは毎日だれにでも同じパズルが出るので、自分の読み方と友だちの読み方を比べるのもかんたんです。

出典2Zhang, J., & Norman, D. A. (1994). Representations in distributed cognitive tasks. Cognitive Science, 18(1), 87–122.

よくある質問

役に立つ答えをいくつか

初めて見るパズルには、どう取り組めばいいですか?

動かす前に読みましょう。ゴール、空きスペース、出口にいちばん近いピースを止めているものを見つけ、それから2つの手が競い合う場所を探します。そうした分かれ道こそ、考える力のほとんどを注ぐべき場所です。

同じルールなのに、難しく感じるパズルがあるのはなぜですか?

パズルの難しさの多くは、頭の中でそれをどう表現するかにあります。構造が同じハノイの塔の各バージョンを比べた古典的な研究では、解くのに何倍も時間がかかるバージョンがありました。その主な理由は、ルールを頭に保ちにくかったことです。

最初の一手の前に、解をすべて計画すべきですか?

その必要はめったにありません。次にステージが枝分かれする地点まで計画し、その区間を指してから、もう一度ステージを読みましょう。計画を扱うパズルの研究では、手間は競い合う選択肢の数とともに増えることがわかっています。注意を向けるならそこです。

OutBrickには時間制限がありますか?

いいえ。OutBrickのどのステージでも最初のタップから目標と手数の上限が表示されますが、ゲーム中に時計はどこにもありません。ステージを読むのに使う時間はタダです。

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参考文献

参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。

  1. Kotovsky, K., Hayes, J. R., & Simon, H. A. (1985). Why are some problems hard? Evidence from Tower of Hanoi. Cognitive Psychology, 17(2), 248–294. doi.org/10.1016/0010-0285(85)90009-X(新しいタブで開きます)
  2. Zhang, J., & Norman, D. A. (1994). Representations in distributed cognitive tasks. Cognitive Science, 18(1), 87–122. doi.org/10.1207/s15516709cog1801_3(新しいタブで開きます)
  3. Chi, M. T. H., Feltovich, P. J., & Glaser, R. (1981). Categorization and representation of physics problems by experts and novices. Cognitive Science, 5(2), 121–152. doi.org/10.1207/s15516709cog0502_2(新しいタブで開きます)
  4. Ward, G., & Allport, A. (1997). Planning and problem-solving using the five-disc Tower of London task. The Quarterly Journal of Experimental Psychology Section A, 50(1), 49–78. doi.org/10.1080/713755681(新しいタブで開きます)
  5. Kirsh, D., & Maglio, P. (1994). On distinguishing epistemic from pragmatic action. Cognitive Science, 18(4), 513–549. doi.org/10.1207/s15516709cog1804_1(新しいタブで開きます)

執筆

OutBrick Editorial Desk

OutBrick編集部は、プレイヤー研究、アクセシビリティの実践、ゲームづくりで得た学びを、役に立って読みやすいノートにまとめています。

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