
よくできたスライドパズルは、絶望的に見えるようにつくられています。マスはすべて埋まり、どのブロックもほかのブロックの邪魔をしているようで、出口は反対側。私はOutBrickのためにそんなステージをつくってはテストしていますが、どんなパズルでも、同じ5つの習慣でほとんどを解いてきました。どれもテクニックではありません。ブロックの壁を、短い質問のリストに変えるための見方です。
ぎっしり詰まったステージを前にすると、動かせるものから動かしたくなります。10秒だけこらえてください。出さなければならないブロックをひとつ選び、その出口を見て、ひとつだけ自問します。「このブロックと出口のあいだには何があるか?」その答えが、本当の問題です。次に、邪魔をしているブロックそれぞれについて同じ質問をし、すでに動かせるブロックにたどり着くまで続けます。
こうしてできあがるのが、ゴールから逆向きに読んだ依存関係のチェーンです。出口には黄色のブロックが必要で、黄色のブロックには緑がレーンからどいてもらう必要があり、緑には左側のすき間が必要、というように。心理学ではこうした考え方を手段目標分析と呼び、パズルの見せ方によって感じる難しさが変わることもよく知られています。Kotovsky、Hayes、Simonは、構造は同じで表面上のルールだけが違うハノイの塔を何種類か解いてもらい、種類によって解く時間が大きく違うことを確かめました。難しさの多くは、ルールと今の状態を同時に頭に置いておくことにありました。名前をつけたチェーンは、その負担を少し軽くしてくれます。
OutBrickでは出口は色のゲートで、ブロックは自分の色のゲートからしか出られません。そのため、逆にたどるときにもうひとつ便利なルールが加わります。ブロックを通さないゲートは、枠と同じく壁だということです。最初のブロックには、ゲートの前のチェーンがいちばん短い色を選びましょう。
- 出さなければならないブロックをひとつ選ぶ。
- そのブロックと出口のあいだにあるものを書き出す。
- 邪魔をしているブロックごとに同じことをくり返し、すでに動かせるブロックにたどり着く。
- そのブロックから、チェーンを順に動かしていく。
出典1Kotovsky, K., Hayes, J. R., & Simon, H. A. (1985). Why are some problems hard? Evidence from Tower of Hanoi. Cognitive Psychology, 17(2), 248–294.
ぎっしり詰まったステージで動かせる手は、見た目よりずっと少ないものです。決める前に数えてみましょう。すき間のないステージでは数手しかないこともあり、そのうちのひとつが、たいていステージの設計の中心になっている一手です。すき間をつくり、山を少しずつほどいていくスライドです。空いたマスは、スライドパズルの通貨です。いちばんいい最初の一手は、次の手のためのスペースを買うもので、それだけで何かを出せることはめったにありません。
どのブロックを動かすかと同じくらい、どこに置くかも大切です。OutBrickのブロックは、ドラッグした方向へすべり、指を離したところで止まります。その手前に壁や色の合わないゲートがあれば、そこで止まります。となりのブロックに向けてスワイプすると、2つが入れ替わります。レーンの途中に止めたブロックは、今は邪魔にならなくても、4手後には道をふさいでいるかもしれません。指を離す前に、あとで必要になるレーンをふさいでいないか確かめましょう。
こうしたパズルに近道が効きにくいのには、数学的な理由があります。HearnとDemaineは、一般化したスライドパズルがPSPACE完全であることを証明しました。かんたんに言えば、大きなステージをすべて効率よく解ける方法は知られていないということです。人はこのガイドにあるような経験則でなんとか解いています。それはまた、よくできたパズルには、入り口があるように設計しなければならないということでもあります。OutBrickはこれをきちんと確かめています。2,000ステージすべてを、リリース前にソルバーが解いています。行き詰まったと感じたら、からまっているのはステージではなく、自分でつくった配置のほうです。
出典2Hearn, R. A., & Demaine, E. D. (2005). PSPACE-completeness of sliding-block puzzles and other problems through the nondeterministic constraint logic model of computation. Theoretical Computer Science, 343(1–2), 72–96.
計画は短いチェーンで立てましょう。ワーキングメモリーが一度に保てるのはほんの数個で(Cowanによる研究のまとめでは、およそ4つのまとまり)、10手先まで読もうとすると、たいていは4手をはっきり見て、残りは当て推量になります。手を「意図」ごとにまとめましょう。「左の列を空ける」はスライドが3回必要でも、ひとつのまとまりです。2つか3つのまとまりを計画して動かし、それからもう一度ステージを見ます。
手数の上限があるパズルなら、ここで差がつきます。OutBrickには時間制限がどこにもありません。各ステージのロープは手数の上限で、上限とステージの目標は最初のタップから表示されています。これで、何が貴重かが変わります。手数はコストがかかりますが、考えるのはタダです。時間は気にせず使い、手数は慎重に使いましょう。スライドの前に、次のことを確かめてください。
- この手で何ができるようになるか?
- 今、または2手後に、何をふさぐか?
- 長いスライド1回で、短いスライド2回分の仕事ができないか?
- 出口から組み立てたチェーンを進める手になっているか?
出典3Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24(1), 87–114.
アンドゥは実験として使うのがいちばんです。同じくらいよさそうな手が2つあるときは、片方を指して、何が開くかを見て、元に戻します。いくら眺めても見えなかったことを、アンドゥ1回分でステージから教わったことになります。アンドゥを負けを認めることだと考える人ほど、長く眺めて、学ぶことが少なくなりがちです。
OutBrickはこの考え方を中心につくられています。各ステージ最初のアンドゥは無料で、なくなることもありません。それ以降のアンドゥは5回分のタンクから使い、25分ごとに1回分ずつ回復します。もう動かせる手がなくなったステージは、無料で自動的にシャッフルされます。ですから、無料のアンドゥは緊急用にとっておかず、いちばん自信のない手に、早めに、ねらって使いましょう。
スターについて、ひとつ知っておきたいことがあります。OutBrickのスターはアンドゥの回数ではなくスコアで決まり、目標を達成した時点で残っている手はすべてブラスターになってスコアを押し上げます。クリアが目的なら、どんどん試してかまいません。スター3つをねらうなら、手数を大切に使い、試すのはまず頭の中で。
アンドゥは一手を直し、やり直しは計画を直します。やり直しが必要なサインは、知っていれば見分けるのはかんたんです。同じ手を3回アンドゥした。ひとつのブロックを行ったり来たりさせている。次の2つのまとまりが何のためか説明できない。必要な場所が、自分で置いたブロックでふさがっている。そうなったら、アンドゥを重ねても、最初からうまくいくはずのなかった道を引き返すだけです。
今遊んでいるゲームで、やり直しに何がかかるのかを正直に見ておきましょう。OutBrickでは、ステージを始めるにはライフが必要ですが消費はしません。クリアしても何も減らず、ライフが減るのはクリアできずに挑戦が終わったときだけです。ライフは30分ごとに1つ回復します。だからこそ、小さな修正にはアンドゥを使い、新しい挑戦は、ステージの読みそのものが間違っていたときのためにとっておくのがおすすめです。
そして、いちばんのやり直しがスマホを置くことだという場合もあります。長い一日の終わりには壁にしか見えなかったステージが、翌朝には最初の30秒で開けることはよくあります。OutBrickのステージには時間制限がないので、ちゃんと待っていてくれます。色で仕分けるときならではの習慣については、カラーソートパズルのコツという記事もあります。まず練習したいなら、遊び方ガイドに、ブラウザで遊べるステージがあります。かんたんなものから、手ごわいものまで。
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よくある質問
役に立つ答えをいくつか
スライドパズルを解くコツはありますか?
これひとつで解けるというコツはありませんが、ひとつの習慣がほとんどの仕事をしてくれます。出口から逆にたどることです。動かしたいブロックの邪魔をしているもの、さらにその邪魔をしているものを書き出し、すでに動かせるブロックにたどり着いたら、いちばんスペースが空く一手を探しましょう。
スライドパズルはすべて解けるのですか?
いいえ。昔ながらのスライドパズルには、解がまったくない配置もあります。たとえば15パズルでは、ありうる初期配置の半分が解けません。設計されたパズルは、公開前に確認しておくべきです。OutBrickの2,000ステージは、どれもリリース前にソルバーがクリアしています。
何手先まで計画すればいいですか?
たいていの人は、数手ずつの小さな目標を2つか3つで十分です。ワーキングメモリーが一度に保てるのはほんの数個なので、「左のレーンを空ける」のようなまとまりで計画し、それを動かしてから、もう一度ステージを見ましょう。
アンドゥを使うのはズルですか?
いいえ。アンドゥは、ステージの動きを知るための最良の方法のひとつです。OutBrickでは各ステージ最初のアンドゥは無料で、スターはアンドゥの回数ではなく、ステージのスコアで決まります。
APA 7
参考文献
参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。
- Kotovsky, K., Hayes, J. R., & Simon, H. A. (1985). Why are some problems hard? Evidence from Tower of Hanoi. Cognitive Psychology, 17(2), 248–294. doi.org/10.1016/0010-0285(85)90009-X(新しいタブで開きます)
- Hearn, R. A., & Demaine, E. D. (2005). PSPACE-completeness of sliding-block puzzles and other problems through the nondeterministic constraint logic model of computation. Theoretical Computer Science, 343(1–2), 72–96. doi.org/10.1016/j.tcs.2005.05.008(新しいタブで開きます)
- Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24(1), 87–114. doi.org/10.1017/S0140525X01003922(新しいタブで開きます)



