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インクルーシブデザイン

VoiceOverでOutBrickの盤面を理解する

VoiceOverでブロック、ゲート、空きスペースを調べ、OutBrickの位置関係をつかむ方法と、次のアップデートに向けた改善を紹介します。

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ネイビーの背景にスマートフォン、色とりどりのブロック、2人のブロックのなかまを描いたOutBrickのゲームイラスト
ジャーナルのイラスト

ゲートの読み上げは聞こえても、場所がわからないことがあります。盤面の要素をスワイプしていけば見つかるのに、画面の上で指を動かすと、どこにあるのかわかりにくい。その違いはOutBrickでは重要です。ブロックがあるとわかるだけでは、通り道を考える準備が始まったにすぎないからです。AppleVisのプレイヤーからは、まさにこの違いが報告され、空きマスも読み上げてほしいという声が寄せられました。こうした報告は、盤面の位置関係の読み取り方を具体的に考え、私たちが何を改善すると約束したかを明確に伝えるための手がかりになります。

ブロック同士の位置関係から考える

スライドパズルを理解するには、どんな色があるかを知るだけでは足りません。ブロックには位置があり、同じ色のゲートがあり、通り道をふさぐかもしれない隣のブロックがあります。そのあいだのスペースによって、どんな手を指せるかが決まります。すべての要素の名前を一度聞いただけで、こうした関係までわかるとは限りません。初めて調べる盤面なら、なおさらです。

OutBrickのVoiceOverラベルは、ブロックの色、形、位置を伝えます。それが、自分なりに盤面を理解する出発点になります。どのブロックかを聞き取ったら、同じ色のゲートがどこにあり、あいだに何があるかを考えてみましょう。ひとつの通り道を調べる前に、盤面全体を覚える必要はありません。

Ran et al.(2025)は、中国の、目の見えない・見えにくい経験豊富なモバイルゲームのプレイヤー32人にインタビューしました。参加者は、ゲームに組み込まれたフォーカス移動、アクセシブルなチュートリアル、調整できるフィードバックを求めていました。

私たちの設計でも、盤面を理解することは、スライドを実行することと分けて考える価値があります。動かしたいブロックを見つけたあとの操作は、VoiceOverのスライドアクションのガイドで説明しています。

出典1Ran, Z., Li, X., Xiao, Q., Fan, X., Li, F. M., Wang, Y., & Lu, Z. (2025). How users who are blind or low vision play mobile games: Perceptions, challenges, and strategies. In Proceedings of the 2025 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1–18). Association for Computing Machinery.

順に移動する方法と、触って調べる方法を使い分ける

要素を順に移動するとは、左右のスワイプで、読み上げの対象となる要素をたどることです。直接触って調べるとは、盤面の上で指を動かし、その下にあるものを聞くことです。前者は、どんな要素があるかを知る助けになります。後者は、読み上げと場所を結びつける助けになります。読み上げで順にたどる並びが、そのまま盤面上で隣り合う関係を表しているとは考えないでください。

AppleVisでは、触って探すとゲートが2つしか見つからず、順に移動すると別のゲートも見つかるという報告がありました。ほかのブロックに囲まれたものや、違う色のゲートをふさぐものなど、一部のブロックも、スワイプでは見つかるのに指で触れた位置では読み上げられませんでした。そのプレイヤーは、必要なブロックが読み上げられなかったためにステージをクリアできなかったことも報告しています。私たちは、ゲートとブロックの両方の不具合を認めました。2つの方法で得られる情報が違うなら、読み上げが欠けていることを報告してかまいません。それは、パズルを理解できていない証拠ではありません。

Kane et al.(2008)は、スクリーンリーダーを使う10人を対象に、ゲーム以外の課題を調べました。試作した仕組みでは探索と実行を分けていましたが、全体として操作は速くなる一方で、ミスも増えました。

この過去の事例から、ここでも考えたい問いが生まれます。プレイヤーは、操作を選ぶ前に自由に調べられるでしょうか。どちらかの方法を好んでも、組み合わせて使ってもかまいません。大切なのは、動かすと決める前に必要な情報を見つけられることです。

出典2Kane, S. K., Bigham, J. P., & Wobbrock, J. O. (2008). Slide rule: Making mobile touch screens accessible to blind people using multi-touch interaction techniques. In Proceedings of the 10th International ACM SIGACCESS Conference on Computers and Accessibility (pp. 73–80). Association for Computing Machinery.

空きマスにも、大切な情報がある

別のプレイヤーは、フリックで順に移動する方法がいちばん使いやすい一方で、位置関係を理解するには盤面の上で指を動かす必要があると説明してくれました。足りなかったのは、空きマスだとはっきり伝える読み上げです。それがないと、何も聞こえない場所を、使えるスペースだと確信できません。パズルが何を伝える必要があるかを、的確に捉えた指摘です。

ブロックとゲートがあり、そのあいだにすき間がある盤面を想像してください。スライドの結果を予測するには、そのすき間が空いているかを知る必要があります。何も読み上げられないだけでは、空きスペースなのか、読み落とされたものがあるのか、そもそも盤面の範囲外なのか、いくつもの可能性が残ります。空きマスだとはっきり読み上げられれば、不確かな点をひとつ減らせます。

空きスペースも、パズルの情報のひとつです。ふさがれた道と通れる道を区別し、ブロック同士の関係を調べやすくしてくれます。ただし、そのスペースでブロックが止まるとは限りません。OutBrickで端まで動かすスライドでは、ブロックは何かに止められるまで進み、もっと短いスライドアクションは何マス動くかを名前で伝えます。動かし方のガイドでは、空いている場所だけでなく、止まる位置も大切な理由を説明しています。

位置関係をつかむ、短い手順を試す

まずは、ひとつのブロックと、その行き先から始めましょう。要素を順に移動してわかることを確かめ、関係する位置を改めて指で触って調べます。2つの方法で情報が食い違う場合は、推測で埋めず、まだ不確かな点として計画に残しておいてください。位置関係をつかむ助けになるときにこの比較を使い、どちらかの方法で情報が欠けていたら教えてください。

Gonçalves et al.(2023)は、目の見えないプレイヤーが公開した70時間を超えるゲームプレイを分析しました。この質的研究では、視覚を中心につくられたゲームで、アクセスできること、自分で選べること、ゲームに夢中になれることのあいだにトレードオフがあると示されました。

私たちが実際に目指すのは、この確認手順を負担の少ないものにすることです。高度な回避策を使いこなさなければならないと感じることなく、調べる道を選び、立ち止まり、はっきりしなかった位置へ戻れるようにしたいと考えています。スライドがうまくいったら、変わった部分をもう一度調べてみましょう。さっきまでブロックがあった場所に、別の役割が生まれているかもしれません。

  • 通り道を考える前に、ブロックと同じ色のゲートを確認します。
  • その道にどのブロックがあり、スライドがどこで止まるかを確かめます。
  • 情報が足りないと感じたら、触って調べる方法と、要素を順に移動する方法を比べます。
  • 確実にその場所を確認できるまでは、何も読み上げられないことを、まだわからない情報として扱います。

出典3Gonçalves, D., Piçarra, M., Pais, P., Guerreiro, J., & Rodrigues, A. (2023). “My Zelda Cane”: Strategies used by blind players to play visual-centric digital games. In Proceedings of the 2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (Article 289, pp. 1–15). Association for Computing Machinery.

次のアップデートで約束していること

10月2日の、触って調べる操作についてのAppleVisの返信で、すべてのブロックとゲートを実際の位置で見つけられるようにし、空きマスは空いていると読み上げることを約束しました。その後に寄せられた空きマスについての提案も、同じ課題の大切さを裏づけていました。2026年10月2日時点では、これらの修正は次のアップデートに向けて作業中です。

また、最初の村から順にすべてのステージをつくり直しており、その作業でもVoiceOverを中心に据えるとお伝えしました。ステージの再設計と、盤面を調べる操作の改善は、それぞれ違う必要に応えます。解きがいのある課題を用意することと、挑戦に必要な情報を確実に見つけられるようにすることです。関係するブロックをきちんと理解したうえで、通り道を選ぶことに集中してほしいと考えています。

Nair et al.(2024)は、研究用につくられたWindowsのゲームで、9人のプレイヤーを対象に3つの移動・探索ツールを比較しました。Surveyorとメニューのどちらを好むかは分かれました。

この小規模な研究は、調べ方の好みの違いにも応えられるようにしたいと思わせてくれます。OutBrickとは異なる環境での研究ですが、自分に合う方法で調べられるか、という問いは役に立ちます。機能全般の情報は、アクセシビリティのページにまとめています。

出典4Nair, V., Zhu, H., Song, P., Wang, J., & Smith, B. A. (2024). Surveyor: Facilitating discovery within video games for blind and low vision players. In Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1–15). Association for Computing Machinery.

どの情報が欠けているかを教えてください

報告は短くても役立ちます。ステージ、どのブロックやゲートか、そして順に移動すると見つかるのか、直接触ると見つかるのか、両方か、どちらでも見つからないのかを教えてください。わかれば、アプリのバージョン、端末、OSのバージョンも添えてください。特定の盤面の配置によるものか、もっと広い範囲で起きている操作の問題かを切り分ける助けになります。

連絡する前にステージを解いたり、ソフトウェアの原因を突き止めたりする必要はありません。「スワイプするとこのゲートが聞こえますが、指で触っても見つかりません」だけでも、具体的な情報になります。再現できるなら、そこに至る手順が役立ちます。再現できなくても、最初に気づいたことには、伝える価値があります。

お問い合わせフォームから、その状況をお送りください。アクセシビリティへの約束では、こうした報告が取り組み全体にどうつながるかを説明しています。目指すのは、ブロックとスペースを十分に理解して、次の一手を自分で決められる盤面です。

よくある質問

役に立つ答えをいくつか

OutBrickのゲートが、スワイプでは見つかるのに、触ると見つからないのはなぜですか?

AppleVisのプレイヤーから、ゲートと一部のブロックでその食い違いが報告され、私たちは2026年10月2日に不具合を認めました。返信では、次のアップデートで実際の位置に触れたときの不具合を修正すると約束しています。修正の公開を確認するものではありません。

何も読み上げられなければ、OutBrickのマスは空いていますか?

何も読み上げられないだけでは、空きマスだと確実に判断できません。報告された、触って調べる操作の問題が未解決のあいだは、特に注意が必要です。空きマスだとはっきり読み上げることは、次のアップデートでの約束に含まれています。

触って調べる方法と、VoiceOverで順に移動する方法のどちらを使うべきですか?

それぞれ役割が違います。順に移動する方法は要素を見つける助けになり、触って調べる方法は要素と画面上の位置を結びつける助けになります。自分に合う方法を使い、両者の情報が食い違う場合は教えてください。

調べにくい盤面は、どこから報告できますか?

OutBrickのお問い合わせフォームをご利用ください。できれば、ステージ、アプリのバージョン、それぞれの調べ方で何が読み上げられるかを添えてください。ステージをクリアしたり、技術的な原因を知っていたりしなくても報告できます。

APA 7

参考文献

参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。

  1. Ran, Z., Li, X., Xiao, Q., Fan, X., Li, F. M., Wang, Y., & Lu, Z. (2025). How users who are blind or low vision play mobile games: Perceptions, challenges, and strategies. In Proceedings of the 2025 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1–18). Association for Computing Machinery. doi.org/10.1145/3706598.3714205(新しいタブで開きます)
  2. Kane, S. K., Bigham, J. P., & Wobbrock, J. O. (2008). Slide rule: Making mobile touch screens accessible to blind people using multi-touch interaction techniques. In Proceedings of the 10th International ACM SIGACCESS Conference on Computers and Accessibility (pp. 73–80). Association for Computing Machinery. doi.org/10.1145/1414471.1414487(新しいタブで開きます)
  3. Gonçalves, D., Piçarra, M., Pais, P., Guerreiro, J., & Rodrigues, A. (2023). “My Zelda Cane”: Strategies used by blind players to play visual-centric digital games. In Proceedings of the 2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (Article 289, pp. 1–15). Association for Computing Machinery. doi.org/10.1145/3544548.3580702(新しいタブで開きます)
  4. Nair, V., Zhu, H., Song, P., Wang, J., & Smith, B. A. (2024). Surveyor: Facilitating discovery within video games for blind and low vision players. In Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1–15). Association for Computing Machinery. doi.org/10.1145/3613904.3642615(新しいタブで開きます)

執筆

Mourad Hamdi

Mouradは、用事と用事のあいだに遊べる、小さくてていねいなゲームをつくっています。OutBrickは、もっと落ち着いて遊べるゲームを目指す彼の実験です。

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