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遊びを通じた学び

ワーキングメモリー:ステージが解けないと感じる理由

難しいステージは、じつは記憶の問題であることが少なくありません。ワーキングメモリーと認知負荷がパズルの難しさをどう左右するかと、負荷を軽くする方法を紹介します。

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ヘッドホンをつけたVioと、ニット帽をかぶったFlurryが、OutBrickのジャーニーマップのBamboo Springsを映したiPhoneの横に立っています
ジャーナルのイラスト

難しいステージのなかには、解が長かったり、うまく隠れていたりするから難しいものがあります。そうではなく、もっと気づきにくい理由で難しいものもあります。頭が無理なく扱える以上のことを、一度に頭に置いておくよう求めてくるのです。内側からはどちらも同じように感じられます。ステージがまるで意味をなさないという、じわじわした感覚です。けれども、求められる対応は違います。2つ目の種類を理解する出発点は、ワーキングメモリー、つまり今考えていることを何でもやりくりする、小さな心の作業スペースです。

小さな作業スペース

何十年ものあいだ、短期記憶の教科書的な数字は「7プラスマイナス2」でした。2001年のレビューで、Nelson Cowanは、項目をくり返し唱えたりまとめたりできないようにすると、本当の容量は3〜5チャンクに近く、4つが妥当な中心的推定値だと論じました。パズルを解いているあいだに積極的にやりくりしているものはすべて、このスペースに収まらなければなりません。今の状態、ゴール、検討中の手、そしてその手が何をふさぐか。

4つは多くありません。一手ずつの10手の計画が途中で崩れるのも、うまい3手の流れを見つけたのに、ちょっと目を離したらすっかり忘れてしまうのも、そのためです。たいていの人は、名前を知らないまま、パズルのステージでこの限界に出会っています。

この作業スペースの大きさは、その時々で一定でもありません。疲れ、気が散ること、心配ごとが、みなスペースを奪い合います。長い一日の終わりには解けそうになかったステージが、翌朝にはすんなり見えることがあるのは、そのためでもあります。あるステージが、ひとつ前のステージよりずっと難しく感じられたら、変わったのはステージなのか自分なのかを考えてみる価値があります。

出典1Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24(1), 87–114.

認知負荷:解くことが学ぶことを押しのけるとき

John Swellerの認知負荷理論は、問題解決の研究から生まれました。1988年の論文で、Swellerは手段目標分析、つまり今いる場所と行きたい場所を絶えず比べ、その差を縮める手を選ぶ戦略が、ワーキングメモリーを大量に使うと論じました。そうすると、次の問題を楽にしてくれるはずのパターンに気づく余裕がほとんど残りません。人はこのやり方で問題を解けても、そこから驚くほど少ししか学ばないことがあったのです。

その後30年の研究を、Sweller、Jeroen van Merriënboer、Fred Paasが2019年にまとめ、同じ限界を中心にした教授法の理論を築きました。その中心的な主張はシンプルです。新しい情報は、容量にも持続時間にも限りのあるワーキングメモリーを通らなければならない。一方、すでに長期記憶に蓄えられた知識は、その限界を免れる。経験が難しい問題を楽にしてくれるのは、主に、知っていることを小さな作業スペースから大きな貯蔵庫へ移してくれるからです。

パズルを解く人にとって、これはおなじみのもどかしさを説明してくれます。自分の力のぎりぎりのステージでは、容量のすべてが手を見つけることに使われ、どうやってクリアしたのかよくわからないままクリアすることもあります。自分の限界の少し内側のステージでは、解がなぜうまくいったのかに気づく余裕があり、そういうときにこそ学べるのです。

出典2Sweller, J. (1988). Cognitive load during problem solving: Effects on learning. Cognitive Science, 12(2), 257–285.3Sweller, J., van Merriënboer, J. J. G., & Paas, F. (2019). Cognitive architecture and instructional design: 20 years later. Educational Psychology Review, 31(2), 261–292.

何手先まで計画できるのか

Louise Phillips、Ken Gilhoolyらは、計画の研究に広く使われる円盤を動かすパズル「ロンドン塔」で、頭の中での計画を直接調べました。ほとんどの人は、2つ先のサブゴールまでは正確に計画できましたが、3つ先はできませんでした。別の実験では、動かす前に頭の中で完全な計画を立てるよう言われた人は、何も指示されなかった人よりずっと長く計画に時間を使いましたが、解の実行が効率的になることはありませんでした。

これは役に立つ、そして謙虚にさせられる数字です。それぞれが短い一連の手である2つのサブゴールが、その種のパズルでたいていの人が確実に見通せる限界で、それ以上先まで計画しようとしても、手間のむだになることが多いのです。ステージの様子が変わる次の地点まで計画し、そこまで指して、もう一度見ましょう。

出典4Phillips, L. H., Wynn, V. E., McPherson, S., & Gilhooly, K. J. (2001). Mental planning and the Tower of London task. The Quarterly Journal of Experimental Psychology Section A, 54(2), 579–597.

負荷を軽くする

ワーキングメモリーは願っても大きくなりませんが、もっとうまく使うことはできます。いちばん強力な道具はチャンキングです。「右のレーンを空ける」のように、いくつもの手を1つの意図として扱えば、同じスペースにより長い計画が収まります。チャンクができる仕組みは、パズル上級者がパターンを見る仕組みの記事で説明しています。

2つ目の道具は、情報を外の世界に預けることです。Evan RiskoとSam Gilbertは、認知的オフローディングについての研究をレビューしました。メモやリマインダー、傾いた文字を読むために首をかしげることなど、体の動きや外の助けを使って、頭の中で考える負担を減らすことです。人は、課題の負担が大きいときや、自分の記憶に自信がないときほど、よくオフロードします。パズルでは、ステージそのものが外部記憶です。指で道筋をなぞったり、探りの一手を指して戻したりすれば、頭の中の枠がひとつ空きます。

  • 一手ずつではなく、2〜4手の名前をつけたチャンクで計画する。
  • 計画は2チャンク先までにして、ステージを読み直す。
  • ステージを記憶として使う。すべてを頭の中でシミュレーションせず、指さす、なぞる、探る。
  • ゴールを小さくする。ステージ全体を一度に解こうとせず、一度に1色ずつ解放することを目指す。

出典5Risko, E. F., & Gilbert, S. J. (2016). Cognitive offloading. Trends in Cognitive Sciences, 20(9), 676–688.

OutBrickが負荷をパズルに集中させる方法

よいパズルは、あなたのワーキングメモリーを、帳簿つけではなくパズルそのものに使わせるべきです。OutBrickは、そうした付随的な負荷を低く保とうとしています。どのブロックにも色が表示され、最初からオンになっている色覚サポートモードでは、対応する記号もつきます。ですから、似た色合いのどちらがどちらかに記憶の枠を使わずに済みます。その理由はパズルで色だけを手がかりにしてはいけない理由で説明しています。ゲートは色のルールを自分で守らせ、目標と手数の上限は画面に表示されたまま。時間を計るものは何もないので、時計を見ながら計画を抱えることもありません。

残るのは、あなたが求めてきた難しい部分です。配置、邪魔をするブロック、順番。ステージが解けないと感じたら、どちらの種類の難しさに向き合っているのかを考えてみましょう。探索の問題なら、ステージを読み続けます。記憶の問題なら、つまり計画を途中で見失っていると気づいたら、計画を小さくしましょう。アクセシビリティのページには、ゲームをあなたの遊び方に合わせるほかの方法が載っています。チャンクで計画する練習には、ブラウザで遊べるステージが手軽です。

よくある質問

役に立つ答えをいくつか

ワーキングメモリーはいくつのことを保てますか?

推定には幅がありますが、よく引用されるレビューでは、くり返し唱えることやまとめることができないとき、大人でおよそ4チャンクとされています。項目を意味のある大きなチャンクにまとめれば、より多くを保てます。

解けるはずなのに、解けないと感じるパズルがあるのはなぜですか?

ワーキングメモリーが許す以上のことを、一度に頭に置いておくよう求めてくることが多いからです。チャンクで計画する、ステージを外部記憶として使う、一度に小さなゴールを1つずつ目指す。そうすれば手に負えるようになります。

人は何手先まで計画できますか?

ロンドン塔パズルを使ったある研究では、ほとんどの人が2つ先のサブゴールまでは正確に計画できましたが、3つ先はできませんでした。短い区間ずつ計画し、ステージを読み直すほうが、たいてい効果的です。

認知負荷理論とは何ですか?

John Swellerが築いた認知負荷理論は、新しい情報は限られたワーキングメモリーを通らなければならないので、課題や教え方はその容量をむだにしないようにすべきだ、というものです。出発点は、ある種の問題解決の戦略が容量を大量に使い、学ぶための余裕がほとんど残らないことを示した研究でした。

APA 7

参考文献

参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。

  1. Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24(1), 87–114. doi.org/10.1017/S0140525X01003922(新しいタブで開きます)
  2. Sweller, J. (1988). Cognitive load during problem solving: Effects on learning. Cognitive Science, 12(2), 257–285. doi.org/10.1207/s15516709cog1202_4(新しいタブで開きます)
  3. Sweller, J., van Merriënboer, J. J. G., & Paas, F. (2019). Cognitive architecture and instructional design: 20 years later. Educational Psychology Review, 31(2), 261–292. doi.org/10.1007/s10648-019-09465-5(新しいタブで開きます)
  4. Phillips, L. H., Wynn, V. E., McPherson, S., & Gilhooly, K. J. (2001). Mental planning and the Tower of London task. The Quarterly Journal of Experimental Psychology Section A, 54(2), 579–597. doi.org/10.1080/713755977(新しいタブで開きます)
  5. Risko, E. F., & Gilbert, S. J. (2016). Cognitive offloading. Trends in Cognitive Sciences, 20(9), 676–688. doi.org/10.1016/j.tics.2016.07.002(新しいタブで開きます)

執筆

OutBrick Editorial Desk

OutBrick編集部は、プレイヤー研究、アクセシビリティの実践、ゲームづくりで得た学びを、役に立って読みやすいノートにまとめています。

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