本文へスキップ
OutBrick実践

複数のデバイスで遊ぶ:研究が示す「続きから」の大切さ

電車ではスマホ、ソファではタブレット、夜はテレビ。複数デバイスの研究が示す「続きから」の大切さと、OutBrickが5つのプラットフォームで同期するしくみ。

  • 6分で読めます
  • 公開日
星のステッキを持ったピンクのブロックのなかまとBlooが、Button FactoryのOutBrickジャーニーマップを映したスマートフォンをはさんで立っています
ジャーナルのイラスト

今では多くの人が、いくつもの画面をまたいで暮らしています。通勤中にスマホで始めたゲームを、夜にはタブレットで続け、週末にはテレビで遊ぶかもしれません。うまくいっているときは、ほとんど気づきません。うまくいかないときには、クリアしたはずのレベルがロックされていたり、進み具合が別の部屋のデバイスに取り残されていたりする、あの独特のいらだちを味わいます。ヒューマン・コンピュータ・インタラクションの研究者たちは、10年以上にわたって複数デバイスの暮らしを研究してきました。おもに仕事の場面でですが、その発見は遊びにもそのまま当てはまります。私たちはOutBrickを5つのAppleプラットフォーム向けにつくっているので、これは私たちが選んだことを振り返る記事でもあります。

デバイスはたくさん、人はひとり

2008年、David DearmanとJeffery Pierceは、27人に複数のコンピュータの使い方についてインタビューしました。論文のタイトル「それは別のコンピュータにある!」は、おもな不満をよく表していました。作業はデバイスをまたいでいるのに、情報はついてこないのです。参加者は、デバイス間で情報を管理することが、この状態全体でいちばん難しい部分だと語り、研究者たちは、人が信頼できる同期サービスが必要だと訴えました。

それ以来、2つのことが変わりました。デバイスの数(今ではスマホ、タブレット、腕時計、テレビも含まれます)と、クラウドサービスの台頭です。Stephanie SantosaとDaniel Wigdorは2013年に22人の専門職にインタビューし、クラウドサービスやアプリが複数デバイスでの仕事をどう変えたかを調べました。クラウドがあっても、データ管理とデバイス間の移動のすき間は、やはりおもな障害として残っていました。

出典1Dearman, D., & Pierce, J. S. (2008). “It’s on my other computer!”: Computing with multiple devices. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 767–776). ACM.2Santosa, S., & Wigdor, D. (2013). A field study of multi-device workflows in distributed workspaces. In Proceedings of the 2013 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (pp. 63–72). ACM.

同時ではなく、順番に

Tero Jokela、Jarno Ojala、Thomas Olssonは、14人に、余暇も含めてデバイスを組み合わせて使ったすべての場面を日記につけてもらい、実際の123件を分析しました。彼らは4つのおもなパターンを見つけました。作業をあるデバイスから別のデバイスへ移す「順次利用」、あるデバイスの画面やキーボードを別のデバイスのために借りる「リソースの貸し借り」、関連のある並行利用、そして関連のない並行利用です。

ゲームにとっていちばん大事なのは、順次利用のパターンです。同じパズルを2台のデバイスで同時に遊ぶことはめったになく、ひとつで遊んで、あとで別のもので遊びます。Amy Karlsonらも、スマホの作業について同じことを見いだしました。スマホで始めたことを終えるためにコンピュータへ移るのはよくあることで、作業にもよりますが、それ自体は問題ではありませんでした。いらだちが生まれるのは、引き継ぎがうまくいかないときでした。

ゲームにとっての教訓ははっきりしています。うまくやるべきなのは、気の利いた同時プレイのモードではありません。2台目のデバイスが、1台目がどこでやめたのかを正確に知っているようにすることです。

ほかのパターンも、頻度は低いものの遊びの中に現れます。リソースの貸し借りは、家族がテレビのまわりに集まり、ひとりがスマホでルールを読んでいる場面です。関連のない並行利用は、テレビで映画が流れているあいだにタブレットでパズルを解く場面です。どちらも特別なデザインは必要ありませんが、ゲームが部屋でただひとつの画面であることはめったになく、中断され、置かれ、また手に取られるものだと思い出させてくれます。

出典3Jokela, T., Ojala, J., & Olsson, T. (2015). A diary study on combining multiple information devices in everyday activities and tasks. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 3903–3912). ACM.4Karlson, A. K., Iqbal, S. T., Meyers, B., Ramos, G., Lee, K., & Tang, J. C. (2010). Mobile taskflow in context: A screenshot study of smartphone usage. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 2009–2018). ACM.

どのデバイスにも役割がある

DearmanとPierceは、人がデバイスに役割を割り当てていることも見いだしました。自分で選ぶこともあれば、制約からそうなることもあります。仕事用のノートパソコン、個人のスマホ、家族のパソコン。Frederik Brudyらによる2019年のレビューは、クロスデバイスコンピューティングに関する510本の論文を分析し、大きさも用途もまったく違う画面のあいだを移るとき、インターフェースをどう合わせるべきかに、この分野がいまも取り組んでいることを見いだしました。

ゲームにも役割があります。スマホは、一日のすきま時間の短いセッションのため。これはすきま時間のスマホゲームで紹介しました。タブレットは、ピースが大きくてくつろげる一台。テレビはみんなで共有するもので、ソファから遊びます。腕時計はちらっと見るため。同じインターフェースをすべての画面にコピーするのは、そのすべてを無視することです。

出典1Dearman, D., & Pierce, J. S. (2008). “It’s on my other computer!”: Computing with multiple devices. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 767–776). ACM.5Brudy, F., Holz, C., Rädle, R., Wu, C.-J., Houben, S., Klokmose, C. N., & Marquardt, N. (2019). Cross-device taxonomy: Survey, opportunities and challenges of interactions spanning across multiple devices. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1–28). ACM.

同期は、信頼されてはじめて役に立つ

DearmanとPierceは、見落としやすい点を指摘していました。人はただ同期を求めていたのではなく、信頼できる同期を求めていたのです。10回に9回うまくいく同期サービスは、ある意味では同期がないより悪いものです。なぜなら、人にすべてをダブルチェックさせるようになり、そのダブルチェックこそ、同期がなくすはずだった手間だからです。

ゲームにとって、信頼にはとても具体的な意味があります。クリアしたレベルが決して消えないこと、古いセーブデータが新しいものを上書きしないこと、どのデバイスに本当の進み具合があるのか迷わなくていいこと。プレイヤーは良い同期にはめったに気づきませんが、悪い同期は何年も覚えています。多くの場合、それはそのゲームをやめた瞬間として記憶されるのです。

信頼は、プレイヤーがしなければならないことの少なさにも左右されます。アカウントがひとつ増えるたび、コードや手動の「セーブをアップロード」ボタンがひとつ増えるたびに、続きが途切れうる場所が増え、プレイヤーがためらう理由が増えます。頼まなくても引き継ぎが行われるほど、人はそれに頼るようになります。SantosaとWigdorの専門職たちは、DearmanとPierceの5年後、クラウドの助けもあるなかで、それでもデバイス間のデータ移動をおもな障害に挙げていました。これは、現代のクラウドサービスがあっても、これを正しく行うのがいかに難しいかを物語っています。

出典1Dearman, D., & Pierce, J. S. (2008). “It’s on my other computer!”: Computing with multiple devices. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 767–776). ACM.2Santosa, S., & Wigdor, D. (2013). A field study of multi-device workflows in distributed workspaces. In Proceedings of the 2013 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (pp. 63–72). ACM.

OutBrickは5つのプラットフォームをどう扱っているか

OutBrickはiPhone、iPad、Mac、Apple Vision Pro、Apple Watchで動き、進み具合はiCloudで同期されます。だから、ジャーニーのどこにいるかは、どのデバイスを手に取ってもついてきます。ゲームはオフラインでも遊べるので、あるデバイスで電波が弱くても遊ぶのを止められません。最新情報にある4.2のノートでは、ウィジェットや、指定した画面を開くようになったチャレンジリンクと並んで、Handoffにも触れています。

ルールはどこでも同じです。同じステージ、同じ手数の上限、時間制限なし、色覚サポートの記号は初期設定でオン。変わるのは画面への合わせ方です。もっとも小さな画面ともっとも風変わりな画面のためのデザインについては、Apple WatchのパズルゲームとApple Vision Proのパズルゲームで別に書いています。

出典3Jokela, T., Ojala, J., & Olsson, T. (2015). A diary study on combining multiple information devices in everyday activities and tasks. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 3903–3912). ACM.1Dearman, D., & Pierce, J. S. (2008). “It’s on my other computer!”: Computing with multiple devices. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 767–776). ACM.

マルチデバイスのゲームで確かめたいこと

いくつものデバイスで遊ぶなら、いくつかのチェックで、そのゲームが「続きから」を真剣に考えているかどうかがすぐにわかります。

  • 別のアカウントにサインインしなくても、2台目のデバイスに進み具合が表示されるか?
  • あるデバイスでオフラインで遊んだあと、別のデバイスで開いても大丈夫か?
  • スマホのレイアウトを引き伸ばしただけではなく、それぞれの画面に合った操作になっているか?
  • ルールと難しさはどこでも同じで、テレビのステージがスマホのステージと同じものになっているか?
  • あるデバイスでいつでもやめて、別のデバイスできれいに続きから遊べるか?

出典4Karlson, A. K., Iqbal, S. T., Meyers, B., Ramos, G., Lee, K., & Tang, J. C. (2010). Mobile taskflow in context: A screenshot study of smartphone usage. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 2009–2018). ACM.2Santosa, S., & Wigdor, D. (2013). A field study of multi-device workflows in distributed workspaces. In Proceedings of the 2013 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (pp. 63–72). ACM.

よくある質問

役に立つ答えをいくつか

人は複数のデバイスをどう使っていますか?

おもに順番に使っています。日常の複数デバイス利用についての日記研究では、作業をあるデバイスから別のデバイスへ移すことがおもなパターンのひとつで、ほかに、あるデバイスの機能を別のデバイスのために借りることや、デバイスを並行して使うことがありました。

複数のデバイスを使ううえでいちばん難しいのは何ですか?

2008年以来の研究で一貫して、デバイス間で情報や進み具合を移すことだとされています。人は信頼できる同期を求めています。2台目のデバイスが、1台目がどこでやめたのかを正確に知っているような同期です。

OutBrickはiPhone、iPad、Macのあいだで同期されますか?

はい。OutBrickはiPhone、iPad、Mac、Apple Vision Pro、Apple Watchで動き、進み具合はiCloudで同期されます。オフラインでも遊べます。

良いマルチデバイスのゲームとはどんなものですか?

余分なアカウントなしの信頼できる同期、あとで追いつくオフラインプレイ、それぞれの画面に合った操作、そしてどこでも同じルールとステージ。あるデバイスでやめて、別のデバイスできれいに続きから遊べるゲームです。

APA 7

参考文献

参考文献は原語のまま記載しています。出典が研究ではなく、スタジオ自身の歴史や報道記事である場合は、本文の該当箇所でその旨を明記しています。

  1. Dearman, D., & Pierce, J. S. (2008). “It’s on my other computer!”: Computing with multiple devices. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 767–776). ACM. doi.org/10.1145/1357054.1357177(新しいタブで開きます)
  2. Santosa, S., & Wigdor, D. (2013). A field study of multi-device workflows in distributed workspaces. In Proceedings of the 2013 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (pp. 63–72). ACM. doi.org/10.1145/2493432.2493476(新しいタブで開きます)
  3. Jokela, T., Ojala, J., & Olsson, T. (2015). A diary study on combining multiple information devices in everyday activities and tasks. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 3903–3912). ACM. doi.org/10.1145/2702123.2702211(新しいタブで開きます)
  4. Karlson, A. K., Iqbal, S. T., Meyers, B., Ramos, G., Lee, K., & Tang, J. C. (2010). Mobile taskflow in context: A screenshot study of smartphone usage. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 2009–2018). ACM. doi.org/10.1145/1753326.1753631(新しいタブで開きます)
  5. Brudy, F., Holz, C., Rädle, R., Wu, C.-J., Houben, S., Klokmose, C. N., & Marquardt, N. (2019). Cross-device taxonomy: Survey, opportunities and challenges of interactions spanning across multiple devices. In Proceedings of the 2019 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1–28). ACM. doi.org/10.1145/3290605.3300792(新しいタブで開きます)

執筆

Mourad Hamdi

Mouradは、用事と用事のあいだに遊べる、小さくてていねいなゲームをつくっています。OutBrickは、もっと落ち着いて遊べるゲームを目指す彼の実験です。

Mouradのほかの記事